
研修医時代は、別の総合病院に勤務。医師であれば病院勤務というのが既定路線だと思っていました。意識が変わったのは、たまたま誘われた訪問診療のアルバイトです。診察室とは違う表情の患者様と出会う中で興味がわき、訪問診療の道に足を踏み込みました。最初のうちは、訪問診療はお看取りや長期療養の伴走といったイメージがありましたが、実際は大学病院でも見たことがない症例や珍しい症例が多く、診察経験としても幅広い知識・経験を積むことができるとすぐに気づきました。患者様の家庭内での様子を踏まえ、長期スパンでコミュニケーションを取れるため、治療の経過観察や検証も正確に行うことができ、病院内にいるとき以上に本格的かつ実践的な診療・治療に取り組めています。
医療に関わる人間であれば、一度は仕事とプライベートとの両立に悩んだことがあるかと思います。私も、前の病院にいた頃は子育てとの両立にかなり苦労しました。夜のオンコールがあれば車を走らせて往診に行き、翌日は朝から通常通り診療。また夜には家族の料理を作って寝かしつけをしてと、体力勝負な日々を過ごしていました。ちくさ病院の場合は、オンコールはあるものの電話対応のみで、訪問が必要な場合は病院にいる別の医師が対応するという完全分業制をしいてくれているので、無理なくオンオフの両立ができています。人間関係の部分でも、風通しは良い方です。医局は1フロアにまとまっているため、自然と医師同士のコミュニケーションが生まれますし、看護や医療事務も同フロアにいるため、必要に応じてサッと会話ができます。訪問の際は、つねに看護師と一緒に動くため、コミュニケーション量は多いです。症状によっては、看護師の方の意見にも耳を傾け、お互いの意見を交換しながらより患者様のためになる診療を心がけています。