8050問題~問題解決のカギは多職種連携~

8050問題~問題解決のカギは多職種連携~

8050問題~問題解決のカギは多職種連携~

2010年代以降、深刻な社会問題としてクローズアップされている「8050問題」。引きこもりが引き金になったのではないかとされている事件として今年の5月終わりから6月頭にかけての神奈川県川崎市の通り魔事件と東京都練馬区の元農林水産省事務次官の長男殺害事件はまだまだ記憶に新しいですね。今回は在宅に於いても実際に触れる機会のある「8050問題」についてお話させていただきます。

8050問題の概要

まずは8050問題の概要からお話をさせて頂きます。これは、引きこもりの長期高齢化により、80代の親が50代の引きこもりの子を支え、親子が社会から孤立していくケースなどを指します。内閣府の2018年度の調査によれば、40~60歳の引きこもりは全国に61万3000人いると言われており、このまま放っておけば「9060問題」にまで発展し、事態が更に深刻化してしまう事は必然です。

8050問題はなぜ深刻化したのか

8050問題が深刻化した理由に関して、ジャーナリストの池上正樹氏は次のように述べています。「親世代である今の70~80代の人たちは、右肩上がりの時代の中でポジションを勝ち取ってきたという成功体験を持っている人が多い。しかしその子世代である今の40~50代の人たちは、若い頃からバブル崩壊など不遇の時代ばかりを経験していて、両者の価値観には大きな隔たりがある。親世代は他人との比較評価をしてしまう価値観があり、引きこもりになってしまった子供を“恥”だと思い、存在を周囲に隠すようになる。誰にも相談できず、家族全体で長期にわたって孤立することになってしまいまいます」。本来であれば価値観の不一致は「議論」によってある程度埋められる可能性がありますが、親子関係が悪化し、日常のコミュニケーションがなくなってしまうとそれも難しくなります。生活保障や障碍者の手帳を取得したくても、それを“恥”だと思っている親によって隠されてしまい社会や支援と繋がれない。こうした引きこもりに対しての行き過ぎたマイナスイメージ、価値観の押し付けが事態を更に深刻化させていると言えるのかもしれません。

求められる支援~新たな取り組み~

こうした事態を受け、家族だけで困難を抱え込まないよう、地域での支援をさらに広げたいとする引きこもりの中高年の人がいる家族の支援に取り組む団体が、全国組織「8050ネットワーク(仮称)」を設立します。24日に京都市内に各団体の代表が集まり、設立総会が開かれました。親同士が悩みを打ち明け合う交流会などに取り組む「市民の会エスポワール京都」(京都府東山区)をはじめ、同会を主宰する山田孝明さん(66)が働き掛けて活動を始めた名古屋市や福岡県久留米市など計6市の団体で発足されます。親子への支援や団体運営についてのノウハウ共有と情報発信、新規の支援拠点立ち上げ支援などを進めるそうです。山田さんは「現場目線でそれぞれの親子の心情と状況にあった支援策を探る姿勢が欠かせない。社会から孤立している家族は多いはずで、全国組織化で『8050問題』をアピールし、支援活動がない地域を中心に団体設立などを進めたい」と話しています。

在宅からのサポート!情報発信の重要性

訪問する事で明らかになる引きこもり家庭も数多くありますね。引きこもりのお子さんを抱え、この先どうしたらいいのかと不安に感じながら過ごされている患者様、ご利用者様に関わったことがある関係者様もいらっしゃるはずです。相談員の佐藤さん、大塚さんもケアマネージャー様からそういった相談を受けたことがあると話をしています。では、そういった現場に遭遇した際、私たちは何をするべきなのでしょうか。ご家庭が違えばできることも違うという前提はあるものの、私たちがまずやるべきことはそのご家族を助けられるサービスの情報をわかりやすくお伝えする事かと思います。高齢者はインターネットを使えない方も多く、いくら国が情報を発信していても若い世代のように、情報をタイムリーに得ることができません。ひきこもり支援の相談窓口があること、我々のように精神疾患に対して在宅で介入ができる医療機関があることなど、サポートが期待できる機関やサービスの情報を発信することは、そのご家族にとって、問題解決の糸口になるのではないでしょうか。

今回は「8050問題」についてお話をさせて頂きました。長年にわたり形成された家族の問題に第三者が介入していく事は非常に難しいことです。我々が様々な提案をしても、その方に状況の変化に耐えられる精神力や体力が伴っていなければ、環境をかき乱すだけの結果になる可能性も十分に考えられます。しかしながら、最新情報の取得と共有、多職種連携の強化によってサポートできるご家庭が増えることは明白です。ちくさ病院も様々な取り組みや情報発信をし、一人でも多くの患者様、地域の方々のお力になれるよう努めてまいります。