緩和ケアについて学んでみよう!Vol.2

緩和ケアについて学んでみよう!Vol.2

緩和ケアについて学んでみよう!Vol.2

今回のテーマは前回のVol.1に引き続き緩和ケアです。前回のお話で緩和ケア≠がんというのがポイントでしたが、今回は緩和ケアの対象となる「痛み」についてお話しさせていただきます。

緩和ケアにおける「痛み」とは?

「痛み」は大きく5つに分類されると言われています。

  1. 全人的苦痛(トータルペイン)
  2. 身体的苦痛
  3. 社会的苦痛
  4. 精神的苦痛
  5. スピリチュアルペイン

全人的苦痛は身体的苦痛、社会的苦痛、精神的苦痛、スピリチュアルペインを含めたものとして捉えるとわかりやすくなるかと思います。痛みを含む難しい痛みに対する治療を効果的に行う場合には、特にトータルペインの考え方が重要です。以下、それぞれの苦痛について、詳しく見ていきます。

身体的苦痛
これは、痛みや苦しさ、だるさ、動けないことなどを指します。
最も緩和ケアのイメージが強いものではないでしょうか。
例) 「お腹が張って、苦しくて…」

社会的苦痛
これは、仕事上の問題や人間関係、経済的な問題、家庭内の問題、相続問題などの環境的なものですね。周りからのサポートも重要になってくるものだと思っていただければと思います。
例) 「仕事を休んで収入が途絶えるし、医療費はかかるし、家族に迷惑をかけていると申し訳なくて…」

精神的苦痛
これは、不安やうつ状態、恐れ、いらだち、怒り、孤独感などですね。本人しかわからない気持ち的な部分です。周りは良かれと思って言ったことが本人を苦しめるのはここにも影響します。
例) 「暗い中、独りだと思うと怖くて、怖くて…」

スピリチュアルペイン
これは、人生の意味や価値観の変化、死の恐怖、苦しみの意味などです。
例) 「こんな病気になってしまって、人に頼らないとトイレにも行けず、治らないならなんのために生きているんだろう…」

これらの痛みに対してのケアは様々です。
身体的苦痛に対しては薬を用いることで緩和できます。ただ、社会的苦痛や精神的苦痛、スピリチュアルペインには周りからのサポートが非常に重要となります。

まとめ

患者さんと家族の社会生活を含めて支える「緩和ケア」の考え方を早い時期から取り入れていくことで、がんの患者さんと家族の療養生活の質をよりよいものにしていくことができます。
当院としても、「その人らしさ」を尊重してよりよい医療を実現していきたいという想いに立脚していますが、一方で、我々は常に自省的でなくてはならないということを感じています。「その人らしさ」を実現させるということは、耳ざわりがよく、心地良い響きを残します。しかし、十人十色の患者さんを目の前に、実現することは「言うは易く行うは難し」であり、いささか乱暴にいえば、経験が足枷になることもあるからです。経験上の判断から、「こちらの考えを押し付けていなかったか、誘導していなかったか、本当にその患者さんの意に沿ったことができたのか」、これらの問いをはっきり自覚することはとても難しい。なぜなら、わたしたちが当たり前に置いている前提は、あまりにも当たり前で、日常的にわざわざ深く考えたりはしないからです。

時間をかけて無自覚に形成されてきた前提をみつめ考えること。この自省的な営みに、患者さんのその人らしさに答えていく、しなやかなケアの気づきがあるように思います。我々も「実ほど頭を垂れる稲穂かな」という謙虚な姿勢で、常に学びながら地域包括ケアを進めていきたいと考えています。皆様方もお忙しくお仕事をされているとは思いますが、ときには意識的にじっくり考える時間をもってみてはいかがでしょうか。