消毒薬の種類と使い方~感染予防の手だて~

消毒薬の種類と使い方~感染予防の手だて~

消毒薬の種類と使い方~感染予防の手だて~

新型コロナウィルスがきっかけで予防に対しての意識が高まり、マスク不足や消毒薬不足が深刻さを増しておりますが、これまでもO157やインフルエンザなど、消毒薬によって予防できる病気が話題となったことがありました。現在では石鹸やハンドソープだけではなく、ジェル状の消毒薬など手軽に使えるものが市販されています。
適切な予防のために、私たちはどのような消毒薬を選択すれば良いのでしょうか。本日は、消毒薬の種類と特徴についてご紹介をさせて頂きます。

消毒(除菌)と滅菌(殺菌)

滅菌とは、全ての微生物を滅菌し、完全に無菌な状態にすることをいいます。主に手術や注射などに用いる器具類に必要な処置です。
消毒とは、滅菌とは違い微生物の数を感染から防ぐところまで減らす、もしくは除くことをいいます。消毒には消毒薬を用いる化学的消毒法と熱や蒸気などを用いる物理的消毒法があります。

消毒薬の選択と調整方法

消毒する対象が人体直接か医療機器や器材などかによって適した消毒薬を選択します。ポイントは対象になる微生物に対して有効な消毒薬を選択することです。さらに、選択した消毒薬を有効かつ安全に使用するために正しい濃度に希釈して用いることも大切です。適正な温度下(約20℃)かつ十分な濃度で接触時間を保つようにします。消毒薬の調整は使用時とし、作り置きや作り足しを行わないようにします。
消毒部分が泥などで汚染されていると消毒薬の効果が減弱することがありますので、使用前によく洗浄、除去する必要があります。消毒薬を実際に使用する際には、浸漬法・清拭方・散布法・灌流法・塗布法などがあります。消毒目的に合わせて選択しましょう。

主な消毒薬の種類と特徴

◆アルコール類

主に手指、医療器具の消毒に用います。損傷皮膚や粘膜には刺激があるので使用してはいけません。引火性がある為、注意が必要です。

消毒対象

使用できる部位:手指・皮膚/医療器具
日常的な利用法:手洗い/食器・調理器具

対象微生物

一般細菌・MRSA・結核菌・梅毒菌・ウィルスの一部

薬品名

エタノール(無水エタノール、消毒用エタノール)・メタノール変性アルコールイソプロパノール配合(イソプロパノール)・チオ硫酸ナトリウムエタノール配合(ハイポエタノール)

◆ハロゲン化合物類

手指・皮膚、医療用器具の消毒に用います。手術部の皮膚・粘膜にも使用できます。塩素酸塩はウィルス、結核菌にも有効です。ヨウ素は即効性があり、広い範囲の微生物に効果があります。

消毒対象

使用できる部位:手指・皮膚/手術部皮膚/損傷皮膚・潰瘍・粘膜/口腔粘膜/医療器具
日常的な利用法:手洗い/ケガなど/うがい/食器・調理器具

対象微生物

一般細菌・MRSA・梅毒菌・ウィルス・結核菌(塩素酸塩)・広い範囲の微生物(ヨウ素)

薬品名

次亜塩素酸ナトリウム(ヤクラックスD・テキサント・ハイポライト)・ポピドンヨード(イソジン・ネオヨジン)・ヨードチンキ/ヨードホルム・複方ヨードグリセリン(ルゴール)

界面活性剤

手指、皮膚、医療用器具の消毒に用います。手術部の皮膚・粘膜にも使用できます。使用部位によって濃度を変えて使用します。結核菌やウィルスには効果がありません。

消毒対象

使用できる部位:手指・皮膚/手術部皮膚/損傷皮膚・潰瘍・粘膜/医療器具
日常的な利用法:手洗い/ケガなど/食器・調理器具

対象微生物

一般細菌・梅毒菌

薬品名

塩化ベンゼトニウム(ハイアミン)・塩化ベンザルコニウム(オスバン、チアミトール、ウエルパス)

◆過酸化物製剤

創傷・潰瘍の殺菌消毒、口腔粘膜の消毒などに使用します。

消毒対象

使用できる部位:手指・皮膚(注意が必要)/手術部皮膚/損傷皮膚・潰瘍・粘膜/口腔粘膜/医療器具
日常的な利用法:手洗い(注意が必要)/ケガなど/うがい/食器・調理器具

対象微生物

一般細菌

薬品名

オキシドール(オキシフル、マルオキシール)・過マンガン酸カリウム

クロルヘキシジン製剤

手指、皮膚、医療用器具の消毒に用います。創傷皮膚や手術部の皮膚に使用できます。

消毒対象

使用できる部位:手指・皮膚/手術部皮膚/損傷皮膚・潰瘍(粘膜は不可)/医療器具
日常的な利用法:手洗い/ケガなど(粘膜は不可)/食器・調理器具

対象微生物

一般細菌・梅毒菌

薬品名

グルコン酸クロルヘキシジン(ヒビテン、ヒビディール)

◆フェノール製剤

手指、皮膚、医療用器具の消毒に用います。手術部の皮膚には使用できますが、粘膜や損傷皮膚には使用できません。

消毒対象

使用できる部位:手指・皮膚/手術部皮膚/医療器具
日常的な利用法:手洗い/食器・調理器具

対象微生物

一般細菌・MRSA・結核菌・梅毒菌

薬品名

フェノール(液状フェノール、消毒用フェノール)・クレゾール石鹸

◆アルデヒド製剤

一部の芽胞以外すべての微生物に有効です。医療用器具などの消毒に用います。人体には基本的に使用しません。

消毒対象

使用できる部位:医療器具
日常的な利用法:食器・調理器具

対象微生物

すべての微生物(一部の芽胞以外)

薬品名

ホルムアルデヒド(ホルマリン)・グルタラール(サイディックス、ステリスコープ)

まとめ

本日は消毒薬の種類や特徴についてのお話をさせて頂きました。新型コロナウィルスはまだまだ収束の目途が立たず、長期化の可能性があることから、いわゆる「コロナ疲れ」も深刻となっています。それでも私たち、介護医療の従事者は気を緩めることなく徹底した感染予防を継続することが求められます。新型コロナウィルスの問題が終息したとしても、元のレベル以上の感染予防対策が引き続き求められることは確実でしょう。これを機に、正しい知識と高い意識を身につけることが大切ですね。