独居でも大丈夫?~自宅で最期を迎えること~

独居でも大丈夫?~自宅で最期を迎えること~

独居でも大丈夫?~自宅で最期を迎えること~

自宅で最期を迎えさせてあげるのは難しいのではと考えるご家族はまだ非常に多いですね。「独居」という条件下であれば尚更です。私たち、医療介護の従事者でも、「看取り」というものに恐怖心を持っている方もいらっしゃるかと思います。しかし、実際には全く問題なく自宅で最期を迎えることができた一人暮らしの方も数多くいらっしゃいますね。では、在宅看取りができる方はどのような方なのでしょうか。
今日は、独居の看取り、特に「がん患者の看取り」に関して、少し考えてみましょう。

がんは在宅でもっとも看取りやすい!?

「がんの看取り」というと医師でも尻込みしてしまう方もいらっしゃるようです。しかし、意外に思われるかもしれませんが、がんは最も看取りやすい病気であると在宅医療を積極的に行っている医師の多くが感じています。日本人の3人に1人ががんで亡くなるということから、経験を積みやすいという事もあるかもしれませんが、一番の理由は、がんの看取りにおける最大の留意ポイントが「痛みのコントロール」であることです。

がんの痛みのコントロール

では、「痛みのコントロール」が留意ポイントであることが、なぜ「看取りのしやすさ」に繋がるのでしょうか。がんの痛みのコントロールは主に麻薬(オピオイド)で行います。最近ではPCAポンプ(※1)を使って、患者さん本人が疼痛を高度に自己管理できるようになりました。これは病院にいても在宅でも同じことです。
がんの場合、体が思うように動かなくなるのは最後の数週間あるいは数日というのが一般的であるため、それまでに訪問医、訪問看護、訪問介護の回数が次第に増えていき、最後は毎日数回になります。介護士が一日に一度、もしくは二度ほど見守りができるようにサービスを調整する必要があります。

※1 PCAは「自己調節疼痛法」で、患者さんの静脈か皮下に針を常置し、患者さん自身が、症状次第で鎮痛剤を投与できる装置です。患者さんが自分でコントロールでき、直接血管にいれることから効き目が早く出ます。ただし、針が皮膚に接続する部分からの感染症の危険や、チューブをつけることで身動きがとりにくくなるといったデメリットもあります。

「独居」の看取りで考えておかなければならないこと

がんに限らず、人は、希望すれば病院でも施設でも自宅でも亡くなることができます。ただし、一人暮らしで自宅で亡くなりたいと希望したら、亡くなった日か、その翌日には、その死が医療機関に伝わり、死亡診断書が書かれるように手配しておくことが重要です。何日も遺体が放置されるような死は、腐乱が起こり、尊厳のある死とはいいかねます。「独居看取り」では、自分の死後の手順をイメージして、準備することが大切です。

独居看取りのコストの例

希望があっても、付いてまわるのは、やはりコストの問題。独居看取りのモデルケースをご紹介致します。

◆要介護4の場合
介護士が1日3回入ります。入浴は1週間に1度行い、医師による訪問は基本的に月2回、配食は1日1度とします。配食サービスは400円/日×31回=12,400円。他の2食は介護士に作ってもらいます。
医療保険(訪問診療)の限度額は12,000円、介護保険の限度額は約35,000円です。
医療保険、介護保険を最大に使い、配食サービスを加えると合計額は約59,400円となり、これが看取りのコストの基準額と考えられます。
訪問介護では、食事、掃除などの炊事が行われますが、限度額の35,000円以上は、個々の介護事業所の取り決めによって自費サービスを利用することになります(1,000円~1,500円/hほど)。

◆末期がんの場合
在宅での看取りには訪問看護があった方が安心ですよね。特に末期がんの場合、訪問看護は確実に必要になります。訪問医療費の自己負担限度額は、一つの医療機関のみに適用されます。訪問診療・訪問看護・薬剤で、限度額はそれぞれ12,000円かかります。したがって、医療費の合計は36,000円となり、これに介護保険の限度額35,000円、配食サービス12,400円を合計した83,400円が一か月の基準額になります。このほか、定時の訪問介護の代わりに、定期巡回型居宅介護サービス(24時間訪問介護サービス)を利用すると、訪問介護のみの場合は定額21,212円です。これに訪問看護を利用すると、セットで24,268円になります。したがって、訪問診療費(12,000円)、薬代(12,000円)、配食サービス(12,400円)を加えると、基準となる金額は、約57,600円~60,600円です。

※上記はあくまでも目安としての概算です。実際の金額とは異なる部分もあるため、ご了承ください。

まとめ

今回は、独居の方の看取りに関してお話させて頂きました。私たちが、看取りに対して不安や恐怖心を持っている以上に、ご本人やご家族もそういった気持ちを感じています。在宅看取りに於いて、一番の問題はケアの方法ではなく本人や家族の「心構え」だと言う在宅医も少なくありません。一人暮らし(独居)の方でも安心して、自宅で最期を迎えることができるよう、まずは私たちが「心構え」を持っておく必要があるのかもしれません。