自動車の免許証を自主返納するメリットは?Vol.1

自動車の免許証を自主返納するメリットは?Vol.1

自動車の免許証を自主返納するメリットは?Vol.1

日本の車両保有台数は8000万台近くといわれ、世界でも有数の効率的かつ網羅的な公共交通システムを持つことで知られています。一方で、高齢化が進む中、2019年の交通死亡事故に占める75歳以上のドライバーの割合は14.8%と、10年前の8.7%から大幅に増加しています。
2019年版「交通安全白書」によると、2018年に起きた75歳以上の運転者による死亡事故は、75歳未満によるものの2倍以上にもなり、また、高齢者による交通死亡事故は、繰り返し大きな全国ニュースとして報じられています。
痛ましい事故をなくすため、警視庁をはじめ各自治体は高齢者に免許証の自主返納を促進しています。今回は免許証の自主返納の方法とメリットについてお伝えさせていただきます。
「交通安全対策の歩み~交通事故のない社会を目指して~」
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r01kou_haku/pdf/zenbun/00.pdf

運転免許証自主返納の手続き方法

自動車の運転免許証は自身の意思で返納することが可能です。高齢者ドライバーによる交通事故や危険運転が多発していたことから、1998年(平成10)に運転免許の自主返納制度が導入されることになりました。
手続きについては、一般の免許証更新と同様に管轄の警察署または運転免許センターで返納手続きが可能です。免許証を持参し、窓口で返納したい旨を伝えればその場で手続き開始となります。
なお、高齢者ドライバーによる事故が多発していることから、一定の年齢に達した人でないと返納できないと思っている人もいるかもしれませんが、年齢に関係なく本人の意思によって誰でも返納することが可能です。

返納後にもらえる「運転経歴証明書」とは

返納の手続きと同時に、希望者には「運転経歴証明書」というものが発行されます。これは運転免許証やパスポートなどと同じように公的な身分証明書として使えるものであって、免許証と同じようなデザインのカード型になっています。普段から免許証を身分証明書代わりに利用していた人にはありがたい措置と言えるでしょう。運転経歴証明書は2002年(平成14)に導入され、現在は有効期限を設けず永久的に身分証明書として認められています。
警察署または運転免許センターに置いてある申請用紙に必要事項を記入すれば即日発行されます(ただし警察署の場合は数日かかることも)。申請には印鑑と顔写真が必要になるため、事前に用意するかセンター近隣にある証明写真サービスを利用し撮影しておきましょう。
注意点として、免許証が失効してから5年以上経過している場合と、交通違反などにより免許の停止または取り消しになっている人は運転経歴証明書の受給資格はありません。

免許証の自主返納で受けられるさまざまな特典

免許証の自主返納、つまり運転経歴証明書の提示によって、全国各地でさまざまな特典を受けることが可能です。
代表的なところでは、市営・県営のバス・地下鉄やタクシーといった公共機関の運賃の割引があります。ほかにも施設利用時の入館料・入園料、サービス利用料金の割引や、日用品購入時の割引、デパートで商品を購入した際の配送費の無料サービスなどがあります。各自治体によって内容が異なり、それぞれ自主返納に理解のある企業が協賛していることからも、特典の内容は千差万別です。具体的な特典やサービス内容については、以下の警視庁ホームページから確認できます。
法整備の緩和や各企業の理解などもあり、自主返納の件数は制度が導入された1998年の2,596件から、2018年には42万1,190件に達し、この20年間で約160倍にまで増えてきているのです。

家族からお願いする勇気も重要

ひとたび悲惨な事故が起きれば、加害者も被害者も、そしてその家族の人生も滅茶苦茶になってしまいます。もし高齢の家族の運転で、車をぶつけてしまうアクシデントやブレーキを踏むタイミングが遅いなど、少しでも危険を感じるようならば、家族が勇気を持って免許証の返納を促すことも必要かもしれません。第三者に運転を代わってもらう、公共の交通機関を利用するといった選択肢もあるはずです。人によっては頑なに拒否されたり急に不機嫌になったりするかもしれません。しかし、それを提言できるのは家族以外にはいないのです。
AI(人工知能)による自動運転も実用化には至らず、交通網が整備されていない地方部では、高齢者世帯が多くマイカー以外に移動手段がないという地域も多数あります。問題が山積みの状況で自主返納を強制することは簡単ではありませんが、高齢者の運転そして免許証の自主返納について、家族で今一度真剣に議論する必要がありそうです。

まとめ

かつてタバコはオフィス、レストラン、電車や飛行機の中などどこでも自由に吸える環境にありましたが、副流煙による健康被害が明るみになると、一気に禁煙運動が加速していきました。その後時代は流れ、禁煙は規則で縛っていたものが、いつしか他者への思いやりから公共の場では「吸わない」ことが当たり前の世の中に変わってきています。
自動車の免許証の自主返納はなかなか踏み切れない大きな決断かもしれませんが、皆さんの勇気と思いやりによって悲劇を繰り返さないことへの対策は立てることができます。
次回は、愛知県内での手続き場所などをご紹介致します。ケアマネージャーが代理で対応されることもありますので、ご参考までにご覧いただけますと幸いです。