高まる“人材不足感”~どうなる人材獲得競争~

高まる“人材不足感”~どうなる人材獲得競争~

高まる“人材不足感”~どうなる人材獲得競争~

公共財団法人介護労働案手センターでは、令和元年度に実施した「事業所における介護労働実態調査(事業所調査)」、「介護労働者の就労実態と就業意識調査(労働者調査)」の結果を公表しました。現場の抱える“人材不足感”がどの程度なのか。同調査は高まる危機感をリアルに物語る結果となりました。

人材不足感は依然として高い

介護サービスに従事する従業員の不足感は(「大いに不足」、「不足」、「やや不足」)は全体で65.3%と昨年度と比較してやや低下しました。「適当」は34.4%でした。
主な職種別でみると、訪問介護職員の不足感はもっとも高く81.2%。次いで、介護職員は69.7%にのぼりました(看護職員44.4%、ケアマネージャー30.4%)。これは過去10年間で最悪の水準で、政府は人材育成への補助や処遇改善など様々な施策を講じていますが、不足感が一貫して上昇していくトレンドを変えられていません。
昨年度と比較し、介護職員を除く6職種において不足感が低下している状況でありましたが、介護職員の不足感は年々上昇しており、訪問介護職員の不足感は、平成28年度以降80%を超えており、依然高い状況です。
また不足している理由としては、「採用が困難である」が90.0%で、その原因を尋ねると「同業他社との人材獲得競争が激しい」が57.9%と高かった。次いで、「他産業と比べて労働条件が良くない」が52%、「景気が良いため人材が集まらない」が40.9%であった。

訪問介護職員、介護職員の離職率は横ばい傾向

訪問介護職員、介護職員(2職種計)の1年間(平成30年10月1日から令和元年9月30日まで)の採用率は18.2%、離職率は15.4%で、昨年度と比較して離職率は横ばい傾向でした。
また、本年度調査では、サービス提供責任者の調査も実施し、採用率は11.8%、離職率は12.6%と、離職率は訪問介護職員、介護職員と比べて低いものの、採用率が離職率を下回る状況でした。
サービス提供責任者の入職経路の一つとして、訪問介護職員からの内部登用があることから、外部からの採用は2職種と比較して低くなることもうかがえます。

特定処遇改善加算は6割以上の事業所で算定対応

技能・経験のある介護職員の処遇改善を目的に、「勤続年数10年以上の介護福祉士について月額8万円相当の処遇改善を行う」という方針に基づき令和元年10月に創設された介護職員等特定処遇改善加算の算定対応について、対象となる事業所に調査した結果、「算定する」が48.4%、「算定する予定」が15.1%、「算定しない」が32.6%と、6割以上の事業所が加算を算定する意向であることがわかりました。

労働者の労働条件・仕事の負担に関する悩みは賃金よりも人手不足

労働者の労働条件・仕事の負担に関する悩み、不安、不満等において、「人手が足りない」は55.7%で「仕事のわりに賃金が低い」の39.8%よりも高く、介護現場での人手不足は賃金よりも大きいな悩みや不満となっている状況です。

介護労働者の勤続意欲は年々上昇

勤務先に関する希望に於いて、「今の勤務先で働き続けたい」は全体で58.9%と平成28年度から3年連続で上昇しています。
その他、「「介護関係の別の勤務先で働きたい」は7.2%、「介護・医療・福祉関係以外の別の勤務先で働きたい」は4.0%、「わからない」は22.1%と昨年より低下し、今の勤務先での勤続意欲は高まっています。

まとめ

今回は、介護現場の人材問題についてお話をさせて頂きました。介護現場の人材不足問題はひっ迫した状況となってきています。テクノロジーの導入、外国人労働者の雇用など、改善を目指すための動きはありますが、いずれも問題の抜本的な解決に繋がるレベルでは推移していません。労働環境の整備、安定した人材育成、業界全体のイメージアップなど地味ではありますが、行政に任せるのではなく各事象所がコツコツと努力を続ける以外に具体的な解決方法は見当たらないのかもしれません。
コロナ禍の影響で多くの企業が業績を悪化させ、有効求人倍率は低下し、いわゆる買い手市場へと移り変わりをみせている経済状況の中で、医療介護業界は依然として大幅な売り手市場を維持しています。他業種からの流入はもちろん簡単なことではありませんが、この時期だからこそ、他業界から介護業界への流れを促す働きかけが重要になってくるでしょう。