いりょうほうじん ほうりゅうかい

医療法人 豊隆会

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理事長挨拶

  • 社会的理由の入院解消を合言葉に日本では高齢者が長期間病院に入院できない取り組みがすすめられています。 そのいっぽうで行き場を失くした高齢者の孤独死が増えており2030年には日本全体で47万人の高齢者の死に場所がなくなると見られています。 地域での悲惨な死を防ぐために医療法人豊隆会では地域包括ケアに力を入れています。 地域包括ケアとは高齢者が地域のなかで孤立しないように医療機関・介護事業者・行政機関などが一体となって高齢者の生活を支える仕組みです。

    医療法人豊隆会の場合、名古屋市二次救急指定病院であるちくさ病院を中核に24時間対応の在宅医療、訪問看護、訪問介護、高齢者住宅事業を名古屋市内で展開しています。 これらの活動はすべてコールセンターを中核とした連絡体制やクラウドを利用した情報共有システムでサポートされており、私たちが関わっているすべての高齢者の生活を支援しています。

  • 生産性と効率の追求

    最初に、このグラフを見てください。

    これは職域別に2012年から2018年までの労働者数の変化を現したグラフです。医療・介護に従事する人がものすごい勢いで増えていることがわかります。私たちが働いている職域は人喰いモンスターなのです。いっぽう、今後10年間のうちに日本全体で1,000万人の労働者数が減少すると言われており、高齢者が増加し続ける中で、今と同じことを続けていては日本は絶対に立ち行かないことがわかると思います。
    どうすればよいのか。我々は日本と同じような人口減少社会に見舞われた人たちの歴史を振り返ることができます。中世ヨーロッパではペストが大流行し、人口が半減して人口減少社会に突入しました。その結果、ヨーロッパが滅んでしまったのか、というと、そうではなく、少なくなった労働者の発言力が高まって民主主義が発達しました。また、少なくなった労働力を補うため、産業革命が生まれました。同じ時代に、人口増加社会であった日本では一人の人を駕籠(かご)に乗せて二人で担いで運んでいましたが、人口減少社会でそんな非効率的なことをするわけにはいかず、蒸気機関車に大勢の人を乗せて運ぶことが考え出されたわけです。
    私たちが住んでいる日本は長い間、人口増加社会が続いてきたため、生産性と効率に関する考え方がおろそかになってきました。例えば、昔の戦争では神風特攻隊をはじめとして、貴重な兵士の命を使い捨てにしていました。最近でも低価格で高品質な商品を製造するために長時間ブラック労働が横行しています。その結果として日本人の生産性は先進国の中で最低と言われるにいたりました。繰り返しますが、このようなことを続けていては国が滅びてしまいます。 この人口減少社会に対応する処方箋を、私たちは持っています。生産性と効率の向上です。どのようにすれば生産性が向上するのか。まず、私たち一人ひとりの問題解決能力を強化することです。医療・介護の対象になるのは、多くの場合高齢者ですから、高齢者にありがちな身体トラブルに関する基礎的な知識と対応方法を身に着け、起こりうる事故や疾病を予測して、それを未然に防いだり、早期に治療するためのスキルを習得する必要があります。次に、完璧を目指さないこと。解決しようとする問題に優先順位をつけ、早く解決しなければならないこと、重要なこと以外はコミットしないようにしなければなりません。日本の消費者はサービス業に対して完璧を求める習慣がありますが、私たちは要望のすべてに応えることはできないのです。また、発想の転換も必要です。日本の医師は世界一長時間労働ですが、本当に労働時間を短縮するための努力をしてきたのでしょうか?たとえば、市民病院で働く医師の多くは長時間労働です。入院や救急対応だけでなく、大量に押し寄せる外来患者の診察をする必要があるからです。それだったら、いっそのこと、病院の外来部門を切り離して開業医の医師にフロア貸ししてはどうでしょうか?市民病院は赤字経営が多いですが、フロア貸しをすれば賃料が入ってきます。開業医は市民病院の1階で開業できれば大喜びです。病院の医師は病棟業務と救急外来に集中できます。よいことずくめですが、このようなアイデアは規制の垣根を撤廃しなければ実現しません。最後に、定時で帰ること。それを目指して働くこと。残業をしないで済むためにはどうしたらよいか、常に考え続けること。私たち医療法人豊隆会は他にもたくさんの処方箋を持っていますが、頭の中で想い描くだけではなく、一つ一つ実行していかなくてはなりません。そのために、皆さんの力を貸してください。

  • 高齢化社会の到来とともに、最近は私どもも高齢者の方を診察する機会が増えました。
    寝たきりの患者さんも多く、病棟回診や往診にうかがうと半数以上の方はオムツをはめています。
    オムツかぶれがひどいのでかぶれ止めの軟膏をください、などと言われることも増えてきているわけですが、待ってください。この患者さんはなぜオムツをはめているのですか?

    そう質問されると、ご本人やご家族様のみならず、看護師や主治医も説明できなかったりします。

    オムツをはめて生活することがどういうことなのか。
    経験のない方にはオムツ体験をお勧めします。オムツをして半日ていど生活してみるのです。
    当然、小便や大便はオムツの中でします。
    オムツをはめている人は排便をしてもすぐにオムツをかえてもらえるわけではないので、便をしたら最低数時間はそのまま生活を続けてください。
    すると、高齢者にオムツを強要することがどういうことなのか理解できるようになると思います。

    「オムツかぶれがあるので、軟膏を処方しておきますね。」
    これでは子供の使いです。
    なぜオムツが使われているのか、失禁するのはなぜなのか、失禁させないためにはどうしたらよいのか、そのためにどのような治療方針、リハビリプログラムが組まれているのか。
    内服薬の管理から生活環境の整備まで、わたくしたち医療者は患者さんのために明確な指針を示さねばなりません。

    「この患者さんはなぜ怒ってばかりいるのですか?」
    「なぜ転んでばかりいるのですか?」
    「夜中に何度もトイレに起きるのはなぜでしょう?」
    「服をめくると皮膚がぼろぼろめくれて落ちてきます。」
    「お部屋が臭い。」
    「だんだんしゃべらなくなってきました。」

    高齢者が抱えている全ての問題に原因と答えと解決のための方針があるはずです。
    私ども医療法人豊隆会及びそのグループ施設では、患者さんが抱えている様々な問題点と向き合い、ひとつひとつ解決していくことを目指しています。
    その先に、患者さんの満足と幸福があると信じているからです。

理事長 加藤 豊

昭和62年 名古屋大学医学部 卒業
昭和62年 小牧市民病院 研修医
昭和63年 小牧市民病院 内科勤務
平成06年 愛知医科大学微生物免疫学 助手
平成10年 愛知医科大学微生物免疫学 講師
平成13年 医療法人生寿会かわな病院 内科勤務
平成15年 医療法人生寿会五条川リハビリテーション病院 院長
平成18年 医療法人喜浜会 理事長
平成20年 医療法人豊隆会 理事長

研究業績

診療風景

書籍のご案内

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自分も苦しまない幸せな死とは――

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