理事長挨拶 MESSAGE

患者様ならびにご家族様へ

ちくさ病院は1952年創業、およそ70年の歴史を持つ医療機関です。創設当初は外科専門の名古屋市二次救急指定病院として難度の高い外科手術もこ なし、地域の信頼を得てきました。しかし、高齢化社会の進展とともに、社会が私たちに求める役割も変化してきました。最も大きな変化は、治ら ない病気を相手にする機会が増えてきたことです。昔は外科の病院でしたから、手術したら治療は終わりでしたが、最近は手術したあとも、歩けな い、食事が食べられない、認知症がすすんでしまった、などの問題が山積みになります。
このような時代の変化に対応するため、2020年に病院を新築、全病床を地域包括ケア病床にすることにしました。地域包括ケア病院とは、救急機 能、リハビリ機能、在宅医療バックアップ機能の3つの機能を持つ新しいタイプの病院です。高齢社会の進行とともに、治す医療から寄り添う医療 へ、来てもらう病院から駆けつける病院へ、私たちは変化していきます。
クラウドを活用した情報共有システム、コールセンターによる24時間対応、在籍する医師や看護師のスキルアップによって、名古屋市と名古屋市近 隣にお住まいのすべての方に、等しく安心をお届けします。
ちくさ病院の成長にご期待ください。

医療関係者の皆様へ

最初に、このグラフを見てください。

生産性と効率の追求

これは職域別に2012年から2018年までの労働者数の変化を現したグラフです。医療・介護に従事する人がものすごい勢いで増えていることがわかり ます。私たちが働いている職域は人喰いモンスターなのです。いっぽう、今後10年間のうちに日本全体で1,000万人の労働者数が減少すると言われて おり、高齢者が増加し続ける中で、今と同じことを続けていては日本は絶対に立ち行かないことがわかると思います。
どうすればよいのか。我々は日本と同じような人口減少社会に見舞われた人たちの歴史を振り返ることができます。中世ヨーロッパではペストが大 流行し、人口が半減して人口減少社会に突入しました。その結果、ヨーロッパが滅んでしまったのか、というと、そうではなく、少なくなった労働 者の発言力が高まって民主主義が発達しました。また、少なくなった労働力を補うため、産業革命が生まれました。同じ時代に、人口増加社会で あった日本では一人の人を駕籠(かご)に乗せて二人で担いで運んでいましたが、人口減少社会でそんな非効率的なことをするわけにはいかず、蒸 気機関車に大勢の人を乗せて運ぶことが考え出されたわけです。


私たちが住んでいる日本は長い間、人口増加社会が続いてきたため、生産性と効率に関する考え方がおろそかになってきました。例えば、昔の戦争 では神風特攻隊をはじめとして、貴重な兵士の命を使い捨てにしていました。最近でも低価格で高品質な商品を製造するために長時間ブラック労働 が横行しています。その結果として日本人の生産性は先進国の中で最低と言われるにいたりました。繰り返しますが、このようなことを続けていて は国が滅びてしまいます。 この人口減少社会に対応する処方箋を、私たちは持っています。生産性と効率の向上です。どのようにすれば生産性が向 上するのか。まず、私たち一人ひとりの問題解決能力を強化することです。医療・介護の対象になるのは、多くの場合高齢者ですから、高齢者にあ りがちな身体トラブルに関する基礎的な知識と対応方法を身に着け、起こりうる事故や疾病を予測して、それを未然に防いだり、早期に治療するた めのスキルを習得する必要があります。次に、完璧を目指さないこと。解決しようとする問題に優先順位をつけ、早く解決しなければならないこ と、重要なこと以外はコミットしないようにしなければなりません。日本の消費者はサービス業に対して完璧を求める習慣がありますが、私たちは 要望のすべてに応えることはできないのです。


また、発想の転換も必要です。日本の医師は世界一長時間労働ですが、本当に労働時間を短縮するための努力をしてきたのでしょうか?たとえば、 市民病院で働く医師の多くは長時間労働です。入院や救急対応だけでなく、大量に押し寄せる外来患者の診察をする必要があるからです。それだっ たら、いっそのこと、病院の外来部門を切り離して開業医の医師にフロア貸ししてはどうでしょうか?市民病院は赤字経営が多いですが、フロア貸 しをすれば賃料が入ってきます。開業医は市民病院の1階で開業できれば大喜びです。病院の医師は病棟業務と救急外来に集中できます。よいことず くめですが、このようなアイデアは規制の垣根を撤廃しなければ実現しません。最後に、定時で帰ること。それを目指して働くこと。残業をしない で済むためにはどうしたらよいか、常に考え続けること。私たち医療法人豊隆会は他にもたくさんの処方箋を持っていますが、頭の中で想い描くだ けではなく、一つ一つ実行していかなくてはなりません。そのために、皆さんの力を貸してください。

介護関係者の皆様へ

高齢化社会の到来とともに、最近は私どもも高齢者の方を診察する機会が増えました。
寝たきりの患者さんも多く、病棟回診や往診にうかがうと半数以上の方はオムツをはめています。
オムツかぶれがひどいのでかぶれ止めの軟膏をください、などと言われることも増えてきているわけですが、待ってください。この患者さんはなぜ オムツをはめているのですか?
そう質問されると、ご本人やご家族様のみならず、看護師や主治医も説明できなかったりします。

オムツをはめて生活することがどういうことなのか。
経験のない方にはオムツ体験をお勧めします。オムツをして半日ていど生活してみるのです。
当然、小便や大便はオムツの中でします。
オムツをはめている人は排便をしてもすぐにオムツをかえてもらえるわけではないので、便をしたら最低数時間はそのまま生活を続けてください。 すると、高齢者にオムツを強要することがどういうことなのか理解できるようになると思います。

「オムツかぶれがあるので、軟膏を処方しておきますね。」
これでは子供の使いです。
なぜオムツが使われているのか、失禁するのはなぜなのか、失禁させないためにはどうしたらよいのか、そのためにどのような治療方針、リハビリ プログラムが組まれているのか。
内服薬の管理から生活環境の整備まで、わたくしたち医療者は患者さんのために明確な指針を示さねばなりません。
「この患者さんはなぜ怒ってばかりいるのですか?」
「なぜ転んでばかりいるのですか?」
「夜中に何度もトイレに起きるのはなぜでしょう?」
「服をめくると皮膚がぼろぼろめくれて落ちてきます。」
「お部屋が臭い。」
「だんだんしゃべらなくなってきました。」

高齢者が抱えている全ての問題に原因と答えと解決のための方針があるはずです。
私ども医療法人豊隆会及びそのグループ施設では、患者さんが抱えている様々な問題点と向き合い、ひとつひとつ解決していくことを目指していま す。 その先に、患者さんの満足と幸福があると信じているからです。

書籍のご紹介

当法人理事長 加藤 豊 が幻冬舎より一冊の本を出版いたしました。

医者が教える幸せな死のかたち

―家族に迷惑をかけない自分も苦しまない幸せな死とは―
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自分の死に方を選び、家族に迷惑を掛けずに幸せに死ぬ10のヒントを伝授します。
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